カテゴリ:まなび



2024/12/10
眼の輝き(No.100)
 眼の輝きというのは、「見えた」というより「感じた」という方が実体に近い気がします。▶ありがたいことにこの仕事をやっていると毎日その「眼の輝き」を感じることができます。子どもと接する仕事をしている人の多くがこの特典を受けているはずだと思います。▶子どもといっても千差万別。性格も様々。その子その子の眼が輝く瞬間やタイミングは多種多様です。だからこそこの日々の体験は奥が深いなといつも関心しています。空手で上手に動けた時。算数の発展問題が解けた時。こんな時はもちろん分かりやすい瞬間です。それだけではなく、仲間同士でふざけあっている時。勉強の合間に学校での出来事を話している時。お母さんがお迎えに来たのが目に入った瞬間。稽古終りの挨拶の瞬間。挙げ始めたらキリがありません。▶これは私の解釈ですが、子どもたちの「眼の輝き」とは彼ら彼女らが自身の身の回りの出来事を「全面肯定している証」のように私には感じられます。そんな子どもたちの輝きをこれからも大切にしていきます。【終】
2024/12/03
書店と道場(No.99)
 書店。私が居心地が良いと感じる場所のひとつです。最近ではネットで本を購入することが増えましたが、それでも書店に行くとつい長居をしてしまいます。▶たいていの書店は静かです。そこではBGMが流れていないか、流れていても穏やかなクラシックが多いようです。似た空間で思い浮かぶのはホテルのロビーや美術館、博物館でしょうか。もちろん図書館もですが。▶そこにいる人々が手にしているのはスマホではなくて本。静かに本を選んでいます。耳にする音でいえば、客が本を出し入れしたり、ページをめくったりする音。声でいえばレジ周辺の接客の声。あとは絵本や児童書コーナーでお母さんが子どもに小さな声で読み聞かせをしている声。この空間で行われている人の営みはだいたいこの程度の表現でも足りそうです。▶ところで、武道が行われている道場も居心地の良い場所です。静かで何もない空間。聴こえてくるのは、身体の所作からでる音か気合いの声が中心になるでしょうか。「本を選んで楽しむ場の書店」と「武道の稽古をする場の道場」。集う人々の目的が明確なこの二つ。私の個人的なお気に入りの場です。【終】
2024/11/26
成長(No.98)
 子どもの成長をサポートすること。私が一番大切にしていることです。▶私が考える「成長」という概念の良さは、「その子その子の中で完結しきれる」というところにあります。一方で「成功」(その逆の言葉は「失敗」)はどうでしょうか。この概念にはどうしても他者との比較や競争のイメージがつきまとっているようです。逆に成功しても、失敗しても可能であるのが「成長」です。「あの時の失敗があったからこそ、今の私があると思います。」といったコメントをよく耳にしますが、まさにこれこそが「成長」の特長を的確に言い表している言葉だと思います。▶子どもが成長する様子はよくスポンジに例えられます。毎日あっちいったりこっちいったりしながら、身の回りの出来事や取り組みなどから多くの事を素直に吸収して学んでいるはずです。▶その子その子における日々の活動は、あますことなくその子にとって意味のあることであり、その「成長」を可能な限りサポートしたいと思っています。【終】
2024/11/05
おばけと子どもたち(No.95)
 10月は地域の市民センターや公園、ショッピングセンターで思い思いの仮装をしたり、お菓子を交換して楽しんでいる子どもたちをよく見かけました。西洋発のハロウィンは、ここ日本においてクリスマスに次ぐお祭り的ポジションを確立したのでしょうか。いずれにせよ、子どもたちが非日常を面白がっている様子というのは観ているこちらもなんだか嬉しくなるものです。▶ところで、作家の中村文則氏が文芸誌に寄稿していた「日本の妖怪は愛嬌がある」というエッセイを読んで妙に納得したことを思い出しました。西洋の狼男やドラキュラなどのモンスターは「戦う」という概念と関連していて、どうしても「倒す相手」として設定されている。一方、日本の妖怪(ろくろ首、のっぺらぼうなど)は「驚いたり、ビックリする対象」として設定されているだけで、人間界?から見ると「倒す相手」ではないため実害はなさそうだと。(なるほど、日本のお化け屋敷はそんなエンタメですね。)▶いずれにせよ、洋の東西に関わらず人が恐怖を感じる対象をエンタメにして楽しむ文化。想像力豊かで楽しいことが好きな子どもたちにとって、このコンテンツの存在は大きいなと感心しました。【終】
2024/10/15
食べ物の話(No.92)
 子どもたちは食べ物の話が好きです。給食の話、おやつの話、外食した時の話など。たいてい楽しそうに話をしてくれます。▶時間の制約はあるものの、私個人としては子どもが食べ物の話をしてくれている時間が好きです。「今日の給食の大おかずの話」、「新たに見つけたおやつの話」、「回転寿司の好きなねたの話」。どれもこれも具体的にそれぞれの食べ物と自分との関係を語ってくれます。しかも、実に楽しそうに。▶なぜ食べ物の話をしている彼ら彼女らはあんなに楽しそうなのか。ふとした時に気になったのでちょっと考えてみました。「おいしい」という原始的な感覚は子どもたちにとっては多分とても嬉しい体験で、だからこそ他の人にもぜひ伝えたいと思うのかなあと。さらに子どもというのは優しいので自分が好きなおやつをみんなに配って、その喜びをシェアしてくれたりもします。▶私たちは毎日当たり前に「食べ物」と接していますが、子どもたちのこういった言動に触れることで、そこには人と人を繋いでいく大切な意味のようなものがある気がしてきて、なんだか子どもたちから大切なことを教わったような気分になりました。【終】
2024/10/01
カズ選手からの学び(No.90)
 日経スポーツ欄でサッカーの三浦知良選手連載の「サッカー人として」というコラムを読んで大変勉強になると思ったので紹介します。▶タイトルは『細部も「ちゃんとやる」』。そこには現在進行中のサッカーワールドカップ最終予選での日本代表の強さの理由として、全員が各自のポジションですべきことをちゃんとやれているからだと述べた後、自身の日課であるトレーニングに対する姿勢に触れてありました。▶締めくくりはこうです。『小さな「ちゃんと」をコツコツと、どんなことがあってもやる。それが感情のブレを手なずける訓練にもなる。習慣化というのはそういうことで、だから習慣を固められている人は強い。成功の回数にとらわれるでなく、失敗の数を嘆くでもない。何回、立ち向かえるか。挑戦できるか。そのちいさなコツコツは、巡り巡って、人生のモヤモヤを打ち消してくれる。』▶これには心を打たれました。私が子ども達と日々取り組んでいる「空手」や「学習」に対する向き合い方について、意識面と行動面で参考にすべき内容が詰まっていると思いました。子どもたちにも理解できる言葉に変換しながら、今回学んだことをまた伝えていこうと思います。【終】
2024/09/24
季節の変わり目(No.89)
 朝晩が涼しくなってきました。毎年感じるこの時期の「過ごしやすくなってきましたね。」の感覚。耐え難い酷暑が続くここ数年の日本列島に住む者の一人として、この感覚の価値というかありがたみのようなものをひしひしと感じています。▶最近は春に実施するところも増えてきてはいるものの、それでも多くの幼稚園、保育園、小学校ではこの時期から運動会シーズンがスタートします。酷暑の中、人がまばらになっていたあちこちの公園にも元気な子どもの声が戻ってきているようです。さらに、近隣でいえば万博記念公園やエキスポシティなど大きな施設では毎週のようにイベントが予定されていて、たくさんの人が訪れて秋の到来を楽しんでいるようです。▶毎年夏の暑さが話題になって久しいですが、それでも変わらず春夏秋冬の季節が巡ってくるこの地における季節の変わり目を味わえるということ。当たり前のようですが、実にありがたいことだなと感じる今日この頃でした。【終】
2024/07/30
オリンピックとロックフェス(No.82)
 パリオリンピックが始まりました。連日テレビ、新聞、ネットなどで選手の活躍ぶりが報道されています。▶個人的にスポーツを自分でやるのも、観戦するのも大好きです。世界レベルの選手のすぐれたパフォーマンスに巡り会えた時のゾクゾクするような感覚などは最高です。テレビの衛星中継やネット中継でリアルタイムでその興奮を味わえるのは本当にありがたいことです。▶ところで、先週末より3日間ネットのライブ中継で「フジロックフェスティバル’24」が配信されていました。こちらも時間がある時に視聴していたのですが、会場の熱気をリアルタイムで感じることができて普段ではなかなか得難い雰囲気を味わうことができました。▶先週末からたまたま大好きな「スポーツ」と「ロックフェス」のライブ中継が重なって独りで勝手に忙しくしていたわけですが、改めて様々な技術の進化に感心しました。また、その一方でスポーツや音楽を通じて生身の人間がその時その場限りで表現するパフォーマンスの美しさや、その場で時間と空間をともにする沢山の人々の一体感の素晴らしさを感じることができて、思いがけないよい週末となりました。【終】
2024/07/16
夏休みへ(No.80)
 多くの小学校では今週末から夏休みに入ります。子どもたちにとっては年に一度大きな解放感を感じられる日が迫っています。▶まだ梅雨は明けてはいないものの辺りでは蝉の鳴き声が聴かれ始め、休日には浮き輪をもってプールに向かう子どもたちの姿をよく見かけるようになりました。子どもたちを見ているといよいよ感満載の雰囲気が感じられます。▶一方で、とにかく暑さが大変なことになっています。雨の影響か最近は少し収まってはいるものの、この時期からすでに体温並みの気温を記録するような酷暑は珍しいものではなくなってきました。余りの暑さにいつも沢山の子どもたちで溢れている公園も、日によっては人もまばらな時が見受けられるようにもなっています。▶年々夏が大変になるなと思っていますが、私が日々接している子どもたちに目を移してみるとそんな雰囲気は微塵もありません。彼ら彼女らはこの状況においても、目の前にあることに精一杯のエネルギーをつぎ込んでいます。稽古中はもとより、稽古前後の時間も仲間同士走り回っています。素晴らしい躍動感です。これから始まる夏休み。ぜひ思い思いの時間を安全に楽しく過ごせることを祈っています。【終】
2024/06/18
雨の日は(No.76)
 梅雨の季節ですね。今週の週間天気予報を見てみると大阪は傘マークがズラリ。雨は多くの人にとってネガティブなイメージがある天候のように感じますがどうでしょうか。ただ、最近雨の日を過ごしていると感じます。なんだか周囲のペースが少しだけゆっくりしているように。▶少し考えてみました。私たちが当然と思っている日常というのは晴れや曇りなど、雨ではない日を前提に設定されている。だから、雨の日に外出する場合は服装や持ち物、交通手段や外出場所などもいつもより少し変わります。さらに「足元が悪い」ためいつもより時間に余裕をみて行動する人も多いのではないでしょうか。▶ということは、雨の日というのはただ現象として雨が降っているというだけなのですが、多くの人々の日常は何らかの形で結構変化しているということになりそうです。▶確かに普段は人で溢れかえっている繁華街であっても雨の日は人が減り、雨の音も相まって都会の喧騒も少し落ち着いて感じます。そう思いを巡らしてみると雨の日は自分の身の回りの変化から始まり、いつもの場所も少し静かで、時間も少しゆったりしているように思えてきてなかなかいいなと思いました。【終】

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